1963年に英国で出版されたジョン・ル・カレの小説である。
初めて氏の小説を読んだ。
必要以上に興味深かった。
ハヤカワ文庫の宇野利泰氏の和訳の物である。
手島龍一氏のある短い文章に
物語の主人公アレック・リーマス(英国の諜報部員)の
「魂」は未だに昇天出来ずにあの凍土に彷徨っているのでは?
と記されていた。
「全くその通りだろうな」と、僕は手放しで思った。
やっぱり「書く」という事をお仕事とされている方の
表現は凄いなと、思い、感心させられるのだ。
冷戦が終結して20年近い年月を経て僕はこの小説を手にした。
冷戦の緊張度のおそらく、かなり高かった頃に執筆され
出版されたであろう「フィクション」とは感じるが、
もう一度思いを巡らされれば
更に彼の「魂」の行方が気になるのである。
世界の均衡は時を経て変わる物であるのだろうが・・・。
終盤、査問会に証人として立たされてからの
リズ(英国共産党党員)の発せられる言葉は痛い。
その痛さを誰よりも理解していたのはリーマスだろう。
しかし、その痛みを自分自身の内側に留めて置いては
彼の様な職務に携わる方々は日々を過ごせなくなるのでは
ないのだろうか?忘れる様に努力し、無関心を装い、
世間とは別種の人間だと、自分自身に言い聞かせるしか
方法が無いのだろう。
彼は「虚無」を「己の気持ち」の置き所としていないと
辛すぎるのではないのだろうか?
彼が壁の上から掴みたかった物は
一人の女の子の腕だけだったのだろうか?
2,3日前の「虹」は久し振りに見たせいかとても良かった。
先々月に映画館で観た
「ヤング@ハート」(07・英・スティーブン・ウォーカー監督)
に出ていたあの92歳のおばあちゃんが作品の中で
「私が死んでいなくなっても虹に腰かけあなた達をみつめている」
と、言っていた。作品が良かったので「腰かけてんのかな?」とか思って
虹をマジマジと僕は見つめていた。
「腰かけている姿」を僕は目にする事ができなかった。
当ったり前である。
でも、この程度の妄想は許されても良いだろう。
COLD PLAYの「FIX YOU」を聞きながら、でした。
