雨が降っている。

11歳の時に市から賞状を頂いた。
後にも先にも僕が頂いた賞状はこれだけである。
担任の先生に「呼び出し」をくらった時は
事情が全く解らなかったので
「やべぇ。俺、何かやっちゃったのかな?」
と、小心者の僕は【ビビッて】いた。
事は実は簡単でこの賞状に関する話しだったのである。
言うまでも無い事ではあるが
「勉強」とか
「スポーツ」とか
「品行方正」
などとは全く関係なくて
「虫歯の無い子コンクール」という市の
「まつり事」の我が小学校の代表に選ばれていたのだ。



幼い頃、歯医者に行く為にとぼとぼと
歩いていた時は何時でも雨が降っていた様に思う。
調度、今時分である。
歯医者へは自ら進んでニコニコしながら
スキップなどをしながら・・・は、行かない。
幼稚園や小学校からの通知で母に強制的に
連行されて行っていたのである。
雨の中、紫陽花だけが機嫌の悪い僕と
その為に憂慮な面持ちをしょわされていた母とは
関係なく、水を気持ちよさそうに浴びていた。

あの賞状は僕への表彰ではなく、母への為の感謝状だったのである。