「絶対に泣かないぞっ」
と、決意して深呼吸をしてからシートに着いた。
この作品を初めて鑑賞した時の僕の「衝撃」を
僕は未だに言葉に出来る術を持っては、いない。

この作品は二十歳の頃に銀座の並木座で初めて観た。
並木座というのもとても素敵な名画座でこの頃に随分と
お世話になっていたのだけれども98年の9月に閉館している。
寂しいとは言うまい。
悪意も善意も無い時の流れであろう・・・と、僕は思う。
「衝撃」というのはあくまでも僕にとっての物で内容が
センセーショナルであるとか過激であるとか
禁忌に触れているとか描写が凄まじいという事ではない。
やっぱり僕には僕のこの「衝撃」についてはキーボードを叩けない。
小津安二郎監督の昭和28年(1953年)の作品である。
脚本は監督との協同の物で、供に同じ時を過ごしたであろう、野田高梧氏である。
御出演の方々もその様な人々であろう。
ここで御出演の方々のお名前を全て列挙したいが
そんな事をしてしまったら映画館で
ヤセ我慢して堪えた物が止めども無く
あふれて来そうなので止める。
この作品がこの惑星にとって財産である事は間違いが無い。